お役立ちコラム

建設産業政策2017+10について

国土交通省より、昨年7月に提言された「建設産業政策2017+10」のうち、許可制度の見直しなど制度的な対応が必要な事項についての、中間とりまとめが発表されましたのでご案内致します。

国土交通省より、昨年7月に提言された「建設産業政策2017+10」のうち、許可制度の見直しなど制度的な対応が必要な事項についての、中間とりまとめが発表されましたのでご案内致します。

経営業務の管理責任者の要件の見直しなど、これから許可取得を検討している方にも影響のある事項も含まれておりますので今後も注視していきたいと思います。

◆長時間労働の是正について

 1受発注者双方による適正な工期設定の推進

 ①適正な工期設定に関する考え方(基準)の明確化
  工期についての考え方を明確化することを通じて、受発注者双方による適正な工期
  設定の取組を促進するため、中央建設業審議会が標準請負契約約款を作成して、その
  実施を勧告している例を参考としつつ、中央建設業審議会において「工期に関する基
  準」を作成し、その実施を勧告できる旨の規定を検討すべきである。
  「工期に関する基準」の作成にあたっては、適正工期ガイドラインに基づく取組や
  国土交通省直轄工事での取組を参考とするとともに、業種ごとの発注の特性や市場の
  環境等の違いに十分留意して検討を行う必要がある。また、「工期に関する基準」の
  内容については、違法な長時間労働の防止につながるものとすることはもちろん、
  建設企業や発注者等による生産性向上の努力が妨げられるものとならないよう留意す
  べきである。

 ②受注者による工期ダンピングの禁止
  ①の「工期に関する基準」を前提に、建設業法が受注者の責務を規定することによ
  って、発注者保護を図ることを目的とする法律であることを踏まえれば、まずは受注
  者の責務を検討すべきである。
  具体的には、受注者による工期ダンピングを禁止するため、例えば、現行の建設工
  事の請負代金の見積りの規定も参考としつつ、建設企業は請負契約を締結するに際し
  て、工事の準備期間、工事の種別ごとの工事着手の時期及び工事完成の時期などの工
  程の細目を明らかにして建設工事の「工期」の見積りを行う旨の規定を検討すべきで
  ある。「工期」の見積りにあたっては、違法な長時間労働を前提としたものにならな
  いよう、建設企業が責任を持って見積りを行わなければならない。
  あわせて、受注者は、その工期によっては建設工事の適正な施工が通常見込まれな
  い請負契約を締結してはならない旨の規定を検討すべきである。

 ③不当に短い工期による請負契約の禁止と違反した場合の注文者への勧告制度
  受注者の責務が上記②で明確になっていることや受注者による生産性向上の自助努
  力が一層なされることを前提に、受発注者の片務性から、受注者が不当に短い工期を
  強いられることもあることから、注文者についても一定の措置を設ける必要がある。
  具体的には、注文者による不当に短い工期設定を禁止するため、例えば、現行の不
  当に低い請負代金の禁止の規定を参考としつつ、注文者は、その注文した建設工事を
  施工するために通常必要と認められる期間に照らして著しく短い工期による請負契約
  を締結してはならない旨の規定を検討すべきである。
  これらの検討にあたっては、工期のみを切り離して捉えるのではなく、
  ・配置される人員との関係(配置される人員次第で適正な工期の考え方が変わること
   また配置される人員の見込みは受注者しか分かり得ないこと)
  ・請負代金との関係(請負代金を増額し、必要な人員を追加することで短い工期を達
   成できる場合もあること)
  ・生産性向上の取組との関係(建設企業による生産性向上の取組を阻害しないこと)
   などについても留意した上で検討を深めることが必要である。
   また、上記の注文者の規範を確かなものとし、適正な工期設定に向けた実効性を担
   保するため、注文者が上記の規定に違反した場合に、当該注文者に対して必要な勧
   告を行うことができる旨の規定を検討すべきである。なお、この勧告制度そのもの
   が数多く活用されることを意図しているものではなく、この制度を背景として、勧
   告に至るまでもなく、受発注者間での適正な工期設定が推進されることを期待する
   ものである。

 2施工時期等の平準化の推進
  
  働き方改革や生産性向上の観点から、地方公共団体(特に市区町村)における施工時
  期等の平準化の取組を一層推進するため、施工時期等の平準化を公共工事の入札及
  び契約において公共発注者が取り組むべき事項として明確化するとともに、平準化の
  取組が遅れている地方公共団体に対して、関係省庁と連携して、より実効性をもって
  取組を促すことができる制度を検討すべきである。
  あわせて、年度を通じた平準化の取組を推進するため、地域発注者協議会等も活用し
  平準化に関する数値目標の設定等を検討するとともに、専門家の派遣等により個別の
  地方公共団体に対する実務面での支援なども検討すべきである。


◆処遇改善について

 1技能・経験にふさわしい処遇(給与)の実現

 ①一定の工事において、注文者が請負人に対して一定の技能レベルを指定できる制度の
  創設
  現在検討されている技能者の客観的かつ大まかなレベル分けを行う能力評価制度が
  今後構築されることを前提として、工事の適正な施工の確保や品質の向上の観点から
  必要と認められる場合(※)等において、注文者が請負人である建設企業に対し、一
  定の工種の工事の施工に必要な一定の技能レベルを指定することができる制度を検討
  すべきである。
  (※)例えば、現場作業において一定の技能が要求される工事、多数の現場作業員の
     マネジメントが必要となる工事などが想定される。
  この技能レベルの指定制度は、技能者の技能レベルをこれまで以上に受発注者が重
  視し、技能レベルの指定と当該レベルに見合った対価の支払いを通じて、技能者の処
  遇改善、専門工事企業の価格交渉力の強化につながることを意図するものである。例
  えば、専門工事企業が登録基幹技能者など一定のレベルの技能者を有することを「売
  り」として、注文者と交渉を行い、それが評価されて技能レベルを踏まえた請負代金
  での受注に結びついた際に、実際の工事現場で当該レベルの技能者が配置されること
  の担保として使われることも考えられる。
  検討にあたっては、指定を受けた建設企業側の対応や指定に応えられない場合の注
  文者側の対応については、一律に定めるのではなく、当事者間の個々の対応に委ねる
  のが適切であり、また、注文者があらゆる工事でレベルを指定できる制度、あるいは
  特定の技能者個人を指名する制度と誤解されないように制度設計をすべきである。
  また、工種によって技能者の確保状況、育成状況等には差があることから、こうし
  た制度を導入する際には、個別の工種の状況に配慮し、体制の整った工種から順次取
  り組むことを検討すべきである。

 ②施工体制台帳に記載すべき事項に、作業員名簿(当該建設工事に従事する者の氏名)
  を追加
  特定建設業者が作成し、現場に備え置くこととされている施工体制台帳については、
  現状、法令上の建設工事に従事する者に関する記載事項は、主任技術者や外国人建設
  就労者、外国人技能実習生等のみであり、登録基幹技能者をはじめ技能者は記載事項
  となっていない。
  一方、建設工事の現場では、施工体制台帳に作業員名簿を添付するなどの取組が行
  われているところである。
  建設業で働く人の姿を「見える化」することを通じて、現場で働く技能者の誇りや
  処遇改善などにつなげるため、登録基幹技能者をはじめ現場で作業する技能者を施工
  体制台帳における記載事項とするよう検討すべきである。
  なお、作業員名簿の添付を制度化する場合には、建設キャリアアップシステムを活
  用した書類作成の効率化など、建設企業の負担軽減にもあわせて取り組むべきであ
  る。

 ③建設工事を適正に実施するための知識及び技能等の向上
  初級技能者から一人前の技能者、職長、登録基幹技能者などの高度なマネジメント
  能力を有する技能者へのステップアップなど、建設工事に従事する者一人一人がより
  高いレベルにステップアップしていく意識を醸成することを通じて、生産性の向上や
  資格、経験に見合った給与の実現を図るため、建設工事に従事する者は建設工事を適
  正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならない旨の
  規定を検討すべきである。
  その際、技能者の客観的かつ大まかなレベル分けを行う能力評価制度を早期にかつ
  実効性ある形で構築することによりキャリアアップへの道筋を示すとともに、建設リ
  カレント教育(学び直し)のための教育訓練施設等への支援についても継続的に進め
  るべきである。
  また、ステップアップしたレベルに応じて、給与の引き上げのみならず社員化や月
  給制への移行が促進されるよう、必要な対応を検討すべきである。

 2社会保険加入対策の一層の強化

 ①社会保険に未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みの構築
  下請の建設企業も含め社会保険加入を徹底するため、社会保険に未加入の建設企業
  は建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築すべきである。
  その際、社会保険に未加入の建設企業が建設業許可の不要な500万円未満の工事に
  流れることのないよう、運用面においても、社会保険の加入に関する下請指導ガイド
  ラインを踏まえ、「未加入企業を下請企業に選定しない」「適切な保険に未加入の作
  業員は特段の理由がない限り現場入場を認めない」などの取扱いを更に徹底すると
  ともに、施工体系図における未加入企業の「見える化」なども検討すべきである。
  また、②の労務費相当分の現金払の徹底など、社会保険に加入する下請建設企業の
  負担に配慮するとともに、法定福利費が下請建設企業まで行き渡っているか継続的
  なモニタリング調査を実施すべきである。
  さらに、平成29年7月の中央建設業審議会で改正された標準請負契約約款等を活用
  した法定福利費の内訳明示の取組を徹底することや、平成30年1月から開始した
  「工事施工を社会保険加入企業に限定する誓約書の活用の取組」をさらに呼びかける
  など、社会保険加入をより一層強化していくべきである。

 ②下請代金のうちの労務費相当分の現金払の徹底
  建設業従事者の働き方改革や処遇改善を図る上で、下請建設企業が資金調達に関して
  負担の少ない形で労務費等を適切に支払うことのできる環境を整備するため、下請代
  金の支払いに係る規範について検討すべきである。特に、下請代金のうち労務費相
  当分については、手形ではなく現金払が徹底されるよう規範の強化を図るべきであ
  る。
  なお、下請代金の支払いについては、材工一式(材料費・工賃をまとめて支払い)な
  ど、労務費が明示されていない支払いの実態があることにも留意して検討を深める必
  要がある。

②元請建設企業の技術者配置要件の合理化
 i-Construction の進展や、工法のシステム化が急速に進んでいる中、複数の現場を同
 時に担当することが以前よりも容易になり、監理技術者等が専任で行うべき施工管理等
 の業務について、合理化が実現できる可能性のある分野があると考えられる。
 具体的には、監理技術者の職務である「施工計画の作成」「工程管理」「品質管理」「その他の技術上の管理」「当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督」に
 関して明らかに支障が生じないと言える建設工事について、一定の範囲内での兼務を
 認める仕組みを検討すべきである。
 また、将来的な技術者不足が懸念される中、若手技術者の技術力育成を図るためには、
 早期に責任ある立場で現場に従事させることが効果的であると考えられる。このため、
 一定の実務経験と知識を有している若手技術者について、監理技術者の補佐など施工体
 制における明確な立場を与えることが効果的である。
 その際上記のような補佐をする者(監理技術者補佐(仮称)(※))が専任配置されて
 いる場合には、一定の条件の下、当該工事の監理技術者について他の工事等との兼務を
 認める仕組みを検討するとともに、技術研鑽のための研修等への参加や休暇の取得が積
 極的に行えるような環境整備を進めるべきである。

◆生産性向上について

1限られた人材の効率的な活用の促進

①主任技術者配置要件合理化のための専門工事共同施工制度(仮称)の創設
 下請の重層化の中には技能者の不足分を賄うために行われているものがあるが、そう
 した場合も現行制度上、全ての建設企業は主任技術者の配置が必要である。
 今後、技術者不足が懸念される中、技術者配置の合理化を図るため、例えば、一定の
 限られた工種に関して複数の専門工事企業が共同で施工する場合において、上位専門工
 事企業の主任技術者が行う施工管理の下で下位専門工事企業も含め適切に作業を進め
 ていくことで適正な施工が確保できる場合には、下位専門工事企業の主任技術者の配置
 を不要とできる制度(専門工事共同施工制度(仮称))を検討すべきである。
 その際、下位専門工事企業の主任技術者が配置されない中でも適正な施工が確保され
 ることを確実にするため、例えば、配置される上位専門工事企業の主任技術者は専任と
 することやICT技術を活用して主任技術者の行う業務を効率化すること、制度への参
 加企業を建設業許可業者に限ることなどの方策についても同時に検討すべきである。
 あわせて、主任技術者による施工管理の範囲が不明確となることを防ぐとともに、重
 層下請構造を改善するため、本制度を適用した場合の更なる下請契約の締結禁止を検討
 すべきである。

2仕事の効率化や手戻りの防止
 生産性向上や働き方改革の観点から、工事現場におけるリスク発生時の手戻りを可能
 な限り少なくするため、受発注者双方が施工上のリスクに関する事前の情報共有を行う
 べき旨の規定を検討すべきである。
 また、実際の運用にあたっては、その際、民間発注工事においては、何が施工上のリ
 スクにあたるのか等に関して、発注者側が十分な情報や知識を持っていない場合も想定
 されることから、公共工事や民間発注工事の特性を踏まえて情報共有のあり方を検討す
 べきである。

3建設工事への工場製品の一層の活用に向けた環境整備
 工場製品に起因して建設生産物に不具合が生じた場合において、工場製品の製造者に
 対し、原因の究明や取引の停止、再発防止策の策定等、適切な対応を求めるなどの制度
 を検討すべきである。
 具体的には、例えば、建設企業が施工不良等により監督処分を受ける場合に、その原
 因が工場製品製造者である場合には、原因究明、再発防止等を求めるための勧告等がで
 きる仕組みを構築すべきである。
 その際、建築基準法の適用の有無など、土木工事と建築工事の特性を踏まえて検討す
 る必要がある。

4重層下請構造の改善に向けた環境整備
 重層下請構造の改善については、その発生要因に応じて、様々な施策を総合的に講じ
 ていく必要がある。
 発生要因に応じた施策としては、例えば、
 ・建設投資の減少等により、直用技能者を外注化したことに伴う重層化(いわゆる「専
  属型」)については、安定的な建設投資の確保を前提としつつ、社員化等を進める
  べく、技能や経験を有する技能者が社員化できる環境の整備(建設キャリアアップ
  システムの活用等)
 ・繁忙期における労務を確保するために下請発注を行うことに伴う重層化(いわゆる
  「繁忙期型」)については、なるべく繁閑の波をなくすための施工時期の平準化の推
  進や、繁忙期において円滑に労務を確保するための建設業務労働者就業機会確保事
  業の有効活用等
 ・その他の要因による重層化については、地方公共団体の取組も参考としつつ、発注者
  等に説明のできない重層構造を回避する方策の検討(例えば、施工体制台帳や施工体
  系図の活用による下請次数や下請建設企業数等の「見える化」)について検討を行う
  べきである。
  なお、(1)①で提言した専門工事共同施工制度(仮称)については、上記の「専属
  型」や「繁忙期型」の双方に対応していく観点からも、早期に制度化することがのぞ
  まれる。


◆地域建設業の持続性確保二ついて

1災害時やインフラ老朽化等に的確に対応できる入札制度の構築
 地方公共団体における発注職員のマンパワーと災害対応等を担う地域の建設企業が
 ともに減少している現状を踏まえ、災害発生時においても公共発注者による発注関係事
 務が円滑に実施されるとともに、「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライ
 ン」等に記載されている取組が地方公共団体へと普及するよう、災害発生時における公
 共発注者の責務の明確化について検討すべきである。
 また、地域の建設業の担い手を確保しつつ、老朽化や地域インフラの維持管理に対応
 できるよう、地域維持型契約方式をさらに普及・拡大させるための方策を検討すべきで
 ある。さらに、インフラメンテナンス等の担い手を確保するため、海外の入札契約方式
 (フレームワーク方式等)も参考にしつつ、新たな入札契約方式の導入に向けて検討す
 べきである。

2建設業許可制度の見直しによる建設業の持続性確保

①建設業許可基準における経営業務管理責任者の配置要件の見直し
 今般2(2)①により、社会保険に未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めな
 い仕組みを構築することを前提として、経営層の高齢化が進む地域建設業の持続性の確
 保につなげるため、建設業の許可基準における経営業務管理責任者の要件について
 廃止も含め制度の見直しを検討すべきである。
 なお、当該要件を見直す場合でも、建設企業の経営業務に当たる者の資質等の確保は
 極めて重要であり、注文者をはじめとするステークホルダーの関心事でもあることか
 ら、建設企業の経営業務を行う者に関する情報を必要に応じて把握できるようにするこ
 となどをあわせて検討すべきである。

②円滑な事業承継のための建設業許可における事前審査手続の整備

 事業承継時において建設業許可等の空白期間を短縮するため、例えば、事業承継効力
 発生前等、申請までの間の事前確認手続を整備(通知により明確化)することにより、
 申請から許可取得までの期間を短縮する方策について検討すべきである。
 さらに、例えば、あらかじめ許可行政庁の認可等を受けることにより、事業承継の効
 力の発生日に自動的に権利義務を承継するような制度を検討すべきである。
 あわせて、例えば、建設企業を対象とした事業承継に関する相談窓口を設置するなど、
 きめ細やかな施策についても検討すべきである。

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