塗装工事業で建設業許可を取得するために必要な要件は?
塗装工事業で建設業許可を取得するために必要な要件について、
- 経営業務の管理責任者の要件は?
- 専任技術者(一般と特定)の要件は?
- 実務経験で証明するには?
上記3つのことを中心に解説いたします。
塗装工事業とは?
塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事のことを言います。
具体的には、
- 塗装工事
- 溶射工事
- ライニング工事
- 布張り仕上げ工事
- 鋼構造物塗装工事
- 路面標示工事
などが塗装工事業の工事に該当します。
他の業種との区別については、以下のようになっています。
- 舗装道路に車線を引く工事は舗装工事業ではなく、塗装工事業になります。
- 下地調整工事及びブラスト工事は、塗装工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものである。
「軽微な建設工事」以外の塗装工事を請け負うには、その工事が公共工事か民間工事かを問わず必ず建設業許可(塗装工事業許可)を取得しなければなりません。
塗装工事は、ビルや住宅等の建築物をきれいに装うと共に建物の保護に大切な作業になります。
現代社会において環境問題や財産保全などから建築物を長持ちさせる動きが強まっており、塗装工事の重要性が高まってきています。
経営業務管理責任者の要件
法人は常勤役員のうち1人が、個人事業主の場合は本人又は支配人のうち1人が、下記の1~4のいずれかに該当しなければなりません。
- 1.塗装工事業を営む会社で5年以上の役員経験があること。
-
- 建設業許可保有会社であれば、建設業許可通知書のコピーと5年間以上の役員期間の記載されている登記簿謄本(履歴事項全部証明書)等で証明します。
- 建設業許可を保有してない会社であれば、電機通信工事と明確にわかる工事請負契契約書、注文書、請求書等と役員期間の記載されている登記簿謄本(履歴事項全部証明書)等で証明します。
- 複数の会社での役員期間の合算でも証明可能です。
- 2.塗装工事業を個人事業主として5年以上営んでいること。
-
- 塗装工事と明確にわかる工事請負契契約書、注文書、請求書等と5年間以上の確定申告書(原本提示)等で証明します。
- 3.塗装工事業以外の建設業を営む会社で5年以上の役員経験があること。
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- 建設業許可保有会社であれば、建設業許可通知書のコピーと5年間以上の役員期間の記載されている登記簿謄本(履歴事項全部証明書)等で証明します。
- 建設業許可を保有してない会社であれば、工事請負契契約書、注文書、請求書等と役員期間の記載されている登記簿謄本(履歴事項全部証明書)等で証明します。
- 複数の会社(複数業種での)での役員期間の合算でも証明可能です。
- 4.塗装工事業以外の建設業を個人事業主として5年以上営んでいること。
-
- 工事請負契契約書、注文書、請求書等と5年間以上の確定申告書(原本提示)等で証明します。
一般建設業で取得する場合の専任技術者の要件
下記の1~3のいずれかに該当する人を営業所ごとに常勤で置かなければなりません。
- 1.塗装工事の実務経験が10年以上ある人。
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- 建設業許可保有会社での経験であれば、建設業許可通知書のコピーと厚生年金被保険者記録照会回答表等で証明します。
- 建設業許可を保有してない会社での経験であれば、塗装工事と明確にわかる工事請負契契約書、注文書、請求書等と厚生年金被保険者記録照会回答表等で証明します。
- 2.指定学科(建築学、土木工学)卒業+塗装工事の実務経験のある人。
-
- 中等教育学校、高等学校、専修学校の場合は5年以上、高等専門学校及び大学の場合は3年以上の実務経験のある人。
- 建設業許可保有会社での経験であれば、卒業証明書+建設業許可通知書のコピーと厚生年金被保険者記録照会回答表等で証明します。
- 建設業許可を保有してない会社での経験であれば、卒業証明書+電機通信工事と明確にわかる工事請負契契約書、注文書、請求書等と厚生年金被保険者記録照会回答表等で証明します。
- 3.下記の国家資格等を有する人。
-
- 一級土木施工管理技士
- 二級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
- 一級建築施工管理技士
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
- 職業能力開発促進法の路面標示施工
- 職業能力開発促進法の塗装・木工塗装・木工塗装工
- 職業能力開発促進法の建築塗装・建築塗装工
- 職業能力開発促進法の金属塗装・金属塗装工
- 職業能力開発促進法の噴霧塗装
(二級の場合は3年以上の実務経験が必要)
特定建設業で取得する場合の専任技術者の要件
下記の1~3のいずれかに該当する人を営業所ごとに常勤で置かなければなりません。
- 1.一般建設業の要件1~2のいずれかに該当する人で、更に元請として4,500万円以上(消費税込)の工事について2年以上指導監督的な実務経験を有する人。
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- 建設業許可通知書のコピーと工事請負契契約書、注文書、請求書等で証明します。
- 2.下記の国家資格等を有する人。
- 3.国土交通大臣が、1・2に掲げる人と同等以上の能力を有すると認めた人。
- これは、以前に実施されていた特別認定講習及び考査に合格した人(下記参照)が該当しますが、現在は実施されておりませんので、上記の1もしくは2で要件を満たす必要があります。
- 大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者
- 指定建設業7業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した人
実務経験で証明するには
実務経験の証明に必要な工事資料は、申請する行政機関によって使用できる種類や用意する件数が異なります。
ここでは当事務所で対応している、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、関東地方整備局(国土交通大臣許可)についてご説明します。
- 東京都の場合
- 工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書+入金確認資料(法人口座通帳など)のいずれかを証明する期間分(実際の工事期間の合算)
- 神奈川県の場合
- 証明する期間分の法人税確定申告書(確定申告書の事業種目欄で申請業種が記載されていることが条件)
確定申告書で証明できない場合は、工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書+入金確認資料(法人口座通帳など)のいずれかを証明する期間分(各年1件以上) - 千葉県の場合
- 工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書+入金確認資料(法人口座通帳など)のいずれかを証明する期間分(各年1件以上)
- 埼玉県の場合
- 工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書+入金確認資料(法人口座通帳など)のいずれかを証明する期間分(毎月1件以上)
- 関東地方整備局(国土交通大臣許可)の場合
- 工事請負契約書・工事請書+注文書のいずれかを証明する期間分(実際の工事期間の合算)
特に東京都と関東地方整備局(国土交通大臣許可)は、条件が厳しいので慎重に準備しなければなりません。
特に10年以上の実務経験を証明する場合、用意する件数もたくさん必要になります。
ワンポイントアドバイス
塗装工事業の場合、専任技術者になれる指定学科(建築学、土木工学)ですが、建築学に関する学科は建築科を始め8学科、土木工学に関する学科は建築土木科を始め56学科が現在認められております。
まずは建設業許可の取得に向けて1歩前進できることを行動していきましょう。
当事務所では多くの会社様(サポートさせて頂きましたお客様の声)の建設業許可取得のお手伝いをしてきた実績と経験から、ご相談者それぞれの状況に応じて、最適・最短で建設業許可を取得できる方法をご提案させていただいております。
塗装工事業許可についてご不明な点があったり悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。
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